PIEF出資先のマイクロ波化学株式会社(以下「MWCC」)と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機(以下「量研」)量子エネルギー部門六ヶ所研究所は、2021年12月22日に、マイクロ波加熱を用いたレアメタルの省エネ精製技術に関する共同研究契約を締結し、実証試験を進めてきましたが、この度、リチウム鉱山で採鉱し選別されたスポジュミン精鉱に省エネ精製技術を適用し、マイクロ波加熱温度300℃で溶解することに成功しました。
レアメタルの1つであるリチウムの溶解では、スポジュミン精鉱を1000℃以上のか焼処理の後、濃硫酸による250℃以上の焙焼処理が必要となります。今回、量研が開発した化学処理とマイクロ波加熱を組み合わせたアルカリ・マイクロ波溶融技術を用いて、リチウム鉱石で実証試験を行いました。
設備投資(CAPEX)、運用コスト(OPEX)及びCO2排出量を従来技術と新たな低温精製技術で相対比較した結果、CAPEXとOPEXは70%程度、CO2排出量は90%以上削減できる見通しを得ました。この結果から、今まで精製コストが高かった鉱山からのリチウム精製コストの低減に貢献できることから、リチウム精製に係る対環境負荷の低減のみならず、リチウム価格の低下にも期待できます。溶融条件のさらなる最適化により、いっそうの省エネ・CO2削減が期待できるため、本共同研究を通じて、事業規模のプラント設計に資する工学データを蓄積し、早期の社会実装を目指します。
現在、鉱物資源の供給を巡っては、コロナ禍、紛争などにより、非常に激しい流動期を迎えています。鉱物資源産出量の減少のみならず、エネルギー源の供給不足による製造事業における生産量の縮小の影響も受けており、鉱物資源の安定的確保は、喫緊の課題です。本技術は、1)マイクロ波による加熱の高効率化、2)化石由来エネルギー源から電化エネルギー源への転換、3)化学処理による低温化により、経済の持続的発展に不可欠な鉱物資源を、環境親和性を有しつつ安定的に確保することに貢献できます。量研とMWCCは、この新しい精製技術の社会実装を通してカーボンニュートラル化とともに経済発展に貢献していきます。
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マイクロ波化学プレスリリース
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